要約
Claude Code Routines は、ローカル PC を閉じていても Anthropic のクラウド上で Claude Code が自律的にタスクを実行してくれる自動化機能である。本記事では、/schedule コマンドからの進化、3 種類のトリガー、作成方法、ユースケース、類似機能との比較、プラン別料金まで、Routines の全体像を実用目線で解説する。
この記事を読むことで得られるメリット
この記事を読むことで以下のことが分かる:
- Claude Code Routines の本質的な価値と、従来の
/scheduleコマンドとの違いが整理できる - Web UI・CLI・Desktop アプリの3 つの作成方法と、それぞれの制限が把握できる
- スケジュール・API・GitHub イベントという3 種類のトリガーの使い分けが理解できる
- Desktop tasks・
/loop・GitHub Actions との比較から適切な選択基準が身につく - Pro / Max / Team / Enterprise のプラン別料金と実行上限が一覧で分かる
この記事を読むのにかかる時間
約 10 分
環境
- Claude Code(リサーチプレビュー)
- 2026 年 4 月時点の情報
- Anthropic クラウド上で実行
- GitHub リポジトリと連携
Claude Code Routines とは何か
Claude Code Routines を一言で表すなら、GitHub 連携のクラウドタスク自動化機能である。PC を閉じていても、Anthropic が管理するクラウドの仮想マシン上で Claude Code が自律的にタスクを実行してくれる。
ローカル実行との決定的な違い
従来の Claude Code はローカル PC 上で動作するため、PC をスリープさせると実行が止まる。Routines では実行環境がクラウドに移ることで、この制約から解放される。
主な特徴は以下の通りである:
- ローカル PC が不要: Anthropic のクラウド仮想マシン上で動作する
- 複数の GitHub リポジトリと接続可能: 1 つの Routine が複数リポジトリをまたげる
- コネクタ統合: Slack、Linear、Google Calendar などと連携できる
- スキルと汎用サブエージェントが利用可能: ローカル実行と遜色ない操作性を持つ
- カレンダー表示: Web 画面でいつ・どの曜日にどんな Routine が動くかを一覧確認できる
/schedule コマンドからの進化
Routines は、もともと存在していた /schedule スラッシュコマンドの進化系である。/schedule もクラウド上で実行される機能だったが、Routines として再構築され大幅に拡張された。
主な拡張ポイントは以下の 4 点である:
拡張項目 |
| Routines(新) |
|---|---|---|
トリガー種類 | スケジュールのみ | スケジュール / API / GitHub イベント |
管理 UI | CLI 中心 | Web UI + カレンダー表示 |
コネクタ統合 | 非対応 | Slack、Linear、Google Calendar など対応 |
リポジトリ接続 | 単一 | 複数リポジトリ対応 |
Routine の作成方法
Routine を作る方法は大きく 3 つある。それぞれ設定可能な項目が異なるため、用途に応じて使い分けるとよい。
1. Web UI から作成
claude.ai の「コード」セクションにある「Routines」画面からアクセスする。すべてのトリガー種類を設定できるのがメリットで、特に GitHub イベントトリガーは Web UI からのみ設定可能である。
画面 1 つでプロンプト、トリガー、コネクタ、権限をまとめて設定できるため、初めて触る場合でも迷わず作成まで進められる。
2. CLI から /schedule コマンドで作成
ターミナルから /schedule コマンドを叩く方法である。ただし CLI では以下の制限がある:
- スケジュール以外のトリガー(API / GitHub イベント)は設定不可
- コネクタ設定も不可
細かい制御が必要な場合は Web UI に切り替える必要がある。
3. Desktop アプリから作成
Desktop 版のサイドバーにある「Routines」から新規作成できる。Web UI と同様にすべてのトリガー種類を設定可能である。
共通の設定項目
どの方法で作成する場合でも、設定する項目は以下の 6 つである:
- プロンプト: Routine 実行時に Claude Code に与える指示
- モデル: 使用する Claude モデル
- リポジトリ: 接続する GitHub リポジトリ(複数可)
- 環境: 実行環境の設定
- コネクタ: Slack / Linear / Google Calendar など
- トリガー: 実行のきっかけ
権限設定とブランチ制御
権限設定では、push 先のブランチを制御できる。
- デフォルト:
claude/プレフィックスが付いたブランチにのみ push 可能 - 権限変更後: それ以外のブランチへの push も許可できる
これは不用意に main ブランチへ push されるのを防ぐ、安全な初期設定である。プロジェクトのリスク許容度に応じて、スコープを調整するのがおすすめである。
3 種類のトリガーを使いこなす
Routines の中核となるのが、自動実行のきっかけを決めるトリガーである。3 種類のトリガーを用途に応じて使い分ける。
トリガー① スケジュール実行
最も基本的なトリガーで、時間ベースで Routine を起動する。設定できる粒度は以下の 5 種類である:
- 時間ごと
- 毎日
- 平日のみ
- 週次
- カスタム(cron 式に近い指定)
最小間隔は 1 時間である点に注意が必要である。分単位のより細かい間隔は指定できない。より短い周期で動かしたい場合は、後述の Desktop tasks や /loop を検討する。
また、Web UI から手動で実行することも可能である。定期実行の前に動作確認したい場面で便利である。
トリガー② API
専用エンドポイント /fire に POST するだけで起動できるトリガーである。
curl -X POST https://api.anthropic.com/.../fire \
-H "Authorization: Bearer YOUR_TOKEN" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{"text": "追加のコンテキスト情報"}'認証は Bearer token 方式で、text フィールド経由で実行時のコンテキストを渡せる。外部システムから Routine を駆動したい場合に最適である。
トリガー③ GitHub イベント
GitHub 上のイベントをトリガーに Routine を起動する方式である。対応するイベントは Pull request と Release の 2 種類である。
Pull request 側のフィルターは非常に細かく指定できる:
- Author(作成者)
- Title(タイトル)
- Body(本文)
- Base branch(マージ先ブランチ)
- Head branch(作業ブランチ)
- Labels(ラベル)
- Is draft(ドラフト状態)
- Is merged(マージ済みか)
- From fork(フォークからの PR か)
これら 9 種類のフィルターを組み合わせることで、狙った PR に対してだけ Routine を走らせるきめ細かい制御ができる。
ただし以下の制約がある点に留意する必要がある:
- Claude GitHub App のインストールが必須
- GitHub トリガーの設定は Web UI からのみ可能(CLI 不可)
実践的なユースケース
Routines の使い道は大きく 3 つのカテゴリーに分かれる。
開発系ユースケース
- PR レビューコメントへの自動対応: PR にレビューコメントが付いたら、自動で修正コミットを作成する
- Issue のトリアージと自動修正 PR 起票: Issue 作成をトリガーに、内容を分析して修正 PR まで自動で作る
- ドキュメントと実装の乖離検出: 毎週 Routine を走らせ、ドキュメントと実装の差分を検出して更新 PR を作成する
クリエイティブ系ユースケース
- リリースノートの自動生成: Release イベントをきっかけに、コミット履歴や PR を元にリリースノートを自動生成する
情報収集系ユースケース
- 脆弱性・更新の定期チェック: 依存パッケージの脆弱性や更新を週次でチェックし、Slack に通知する
- スケジュール + コネクタの組み合わせ: 情報を集めて通知先に流す、王道の実用パターンである
類似機能との比較と使い分け
Claude Code の自動化手段は Routines 以外にもある。それぞれの特性を整理する。
4 つの自動化手段の比較表
項目 | Routines | Desktop tasks |
| GitHub Actions |
|---|---|---|---|---|
実行場所 | クラウド | ローカル | ローカル | GitHub |
PC 必要性 | 不要 | 必要 | 必要 | 不要 |
最短間隔 | 1 時間 | 1 分 | 1 分 | 任意(cron) |
ローカルファイルアクセス | 不可 | 可 | 可 | 不可 |
適した用途 | AI の判断タスク | ローカル処理 | ポーリング | CI/CD |
選択フロー
どの自動化手段を選ぶべきかを、5 つのステップで整理する:
- PC を閉じていても動かしたいか? → Yes なら Routines
- ローカルファイルへのアクセスが必要か? → Yes なら Desktop tasks
- セッション内でのポーリング処理か? → Yes なら
/loop - ビルドやテストなど決まった処理か? → Yes なら GitHub Actions
- AI の判断が必要な場面か? → Yes なら Routines
特に 「AI の判断が必要」かつ「PC 不要」が重なる場面では、Routines 一択になる。
実行特性と料金プラン
Routine を本番運用する前に押さえておきたい、実行時の挙動とプラン別制限を整理する。
自律実行時の挙動
Routines は Claude Code のクラウドセッションとして自律的に実行される。そのため以下の点に注意が必要である:
- 権限モードの選択や承認プロンプトは表示されない: 人が張り付いて承認する必要がない
- push 先はデフォルトで
claude/プレフィックスのブランチのみ: 権限設定で変更可能 - スキルは利用可能
- 汎用エージェント(general-purpose)は利用可能
- カスタムエージェントは利用不可(実機テストで確認済み)
プラン別の料金と利用上限
プランごとに 1 日の実行回数上限が決まっている。2026 年 4 月時点の情報は以下の通りである。
プラン | 料金 | 1 日の実行上限 |
|---|---|---|
Pro | 月額 20 ドル | 5 回 |
Max | 月額 100 ドル〜 | 15 回 |
Team(Premium 年契約) | シートあたり 100 ドル | 25 回 |
Enterprise | カスタム料金 | 25 回 |
Extra Usage で上限超過も可能
Extra Usage を有効にすれば、従量課金で上限を超えて継続実行できる。本番運用で上限に引っかかる場合の逃げ道として用意されている。
使用量は claude.ai の「設定 → Usage」画面で確認できる。
リサーチプレビュー段階である点に注意
本機能は 2026 年 4 月時点でリサーチプレビュー段階であり、仕様変更の可能性がある。本番運用に組み込む際は、仕様変更を前提に段階的に評価するのがよい。
まとめ
Claude Code Routines の本質的な価値は、PC 不要のクラウド自律実行にある。/schedule コマンドから大幅に拡張され、以下の強力な機能群が追加された。
- 3 種類のトリガー: スケジュール、API、GitHub イベント
- Web UI とカレンダー表示: 一元管理で迷わない
- コネクタ統合: Slack、Linear、Google Calendar
- 複数リポジトリ接続: 1 つの Routine でまたげる
- スキル・汎用エージェント活用: ローカル実行と遜色ない操作性
権限設定で claude/ 以外のブランチへの push 可否も細かく制御できるため、セキュリティスコープを調整しながら導入できる。
ただし現時点ではリサーチプレビュー段階のため、仕様変更を前提に導入評価を進めるのが賢明である。まずは低リスクな Routine(例: 週次の依存パッケージチェック)から試し、挙動と費用感を掴んでから本格運用に広げていくのがおすすめである。