要約
本記事では、AI活用において先進的な日本企業21社のテックブログを、独自LLM開発企業、AI駆動開発実践企業、業務効率化・成果創出企業の3つに分類して紹介する。モノタロウのCline大規模導入やCyberAgentの独自LLM開発など。
対象読者: AI技術の活用に関心のあるエンジニア、技術マネージャー、CTO、AI導入を検討している企業の経営層
この記事を読むことで得られるメリット
この記事を読むことで以下のことが分かる:
- AI駆動開発やRAG活用など2025年のAIトレンド
- 独自LLM開発から業務効率化まで、企業のAI活用レベル別の事例
- 21社のテックブログの特徴と注目記事
- 自社のAI活用戦略立案のヒント
- 定期的にチェックすべき優先度の高いテックブログ
この記事を読むのにかかる時間
約20分
独自LLM開発企業(5社)
1. CyberAgent Developers Blog
特徴
- 独自LLM「CyberAgentLM3」をAmazon Bedrock Marketplaceで提供
- 基盤モデル「OpenCALM」の開発
- AI事業本部を設置し、生成AIの競争力化を全社で推進
注目記事
- 「生成AIの進化と未来戦略 〜サイバーエージェント x AWSが語る最前線」
- 「サイバーエージェントオールで取り組む、生成AIの競争力化」
- 「MCP世界への招待:AI活用の最前線」
チェックすべき理由
独自LLM開発からビジネス展開まで、AI企業としての総合力が見られる
2. 楽天 Tech Blog
特徴
- 日本語LLM「Rakuten AI 7B」「Rakuten AI 2.0」を自社開発
- セマンティック検索システム導入でEコマース最適化
- AIエージェント「Rakuten AIris」で広告最適化を実現
注目記事
- 「【Rakuten AIの裏側】リー・ションが語る日本語LLMとAIの未来」
- 「ビッグデータを分析して消費行動を理解するAIエージェント」
チェックすべき理由
日本最大級のEコマースデータを活用したAI開発の知見が豊富。実ビジネスでの大規模AI活用事例が参考になる。
3. LINEヤフー Tech Blog
特徴
- RAG活用の社内情報検索サービス「SeekAI」で98%の正答率を達成
- LLM-as-a-Judgeによる品質評価自動化
- 国際会議NeurIPS 2024でLLMの安全性向上手法を発表
注目記事
- 「RAGの回答を自動評価する手法(SeekAIでの事例)」
- 「NeurIPS 2024 参加レポート:LLMの安全性を向上させる手法」
チェックすべき理由
社内向け生成AIサービスの本格展開事例として、RAG構築や品質評価の実践的なノウハウが学べる。
4. メルカリ Engineering Blog
特徴
- Vision-Language Modelを活用した商品レコメンド
- PJ-Aurora:UI生成・評価への生成AI活用
- AI-Native化を戦略の中核に位置づけ
注目記事
- 「PJ-Aurora:メルカリにおけるUI生成・評価の取り組み」
- 「メルカリにおける機械学習による検索のリランキングへの道のり」
チェックすべき理由 マルチモーダルAIの実践的活用やAI特許ポートフォリオ構築など、AI-Native企業への変革プロセスが参考になる。
5. NTTデータ
特徴
- Agentic AIのテクノロジーガバナンスに取り組む
- 「Coding by NTT DATA」でAI駆動型コーディングを推進
- 生成AIで開発生産性を最大25%向上
注目記事
- 「Agentic AIの新たな課題 - NTT DATAが挑むテクノロジーガバナンス」
- 「生成AIを使ったNTTデータ流『新時代のシステム開発』とは」
チェックすべき理由 大規模SIerとしての全社的AI活用とガバナンス整備のバランスが参考になる。エンタープライズでのAI導入の課題解決ノウハウが豊富である。
AI駆動開発実践企業(7社)
6. MonotaRO Tech Blog
特徴
- 日本で最も先進的なAI駆動開発実践企業
- Clineを200人規模で試験導入し、効果を定量測定
- MCPサーバー構築による業務知識のAI活用
- CTO-Office AI駆動開発チームを設置
注目記事
- 「Clineを200人で試してみた - モノタロウのAI駆動開発実践記」
- 「大規模コードベースをAIの業務知識に!作ってわかったMCPサーバー使いこなし術」
- 「『言えば作れる』時代の到来:AI×データパイプラインで実現した次世代開発スタイル」
チェックすべき理由
2025年最注目のテックブログ。AI駆動開発の全社展開における課題と解決策が詳細に記録されている。実践的なノウハウの宝庫である。
7. Sansan Tech Blog (BuildersBox)
特徴
- LLM Weekの開催:1週間AI開発を試行し、生産性向上の効果を測定
- MCPサーバー活用による業務知識のAI統合
- VLM(Vision-Language Model)の実践活用
注目記事
- 「【LLM Weekの全貌】開発をAIに任せた1週間で見えた、生産性向上のリアルな成果と課題」
- 「Sansan LabsのLLM活用から考えるLLMプロジェクトの要点整理」
チェックすべき理由
全社的なAI活用実験を定量的に評価しており、導入前後の比較データが豊富。AI導入の効果測定の参考になる。
8. YOUTRUST Tech Blog
特徴
- Claude Code×Obsidianでナレッジベース開発を実現
- AIとナレッジ管理でセキュリティチェック対応を効率化
- 小規模チームでの機械学習への挑戦
注目記事
- 「AIとナレッジ管理で変えるセキュリティチェック対応」
- 「Claude Code×Obsidianで作るナレッジベース開発」
チェックすべき理由
スタートアップならではのリソース制約の中での効率的なAI活用が学べる。Claude Codeの実践的な使い方も参考になる。
9. Loglass Product Teamブログ
特徴
- 生成AI/LLM専任チーム設立に半年間で1億円の戦略投資
- CEO・CTOが率先してAI活用を推進
- GPTsを活用したブログ執筆の効率化
注目記事
- 「【ログラス】AI活用に関する記事・登壇資料まとめ」
- 「AIでブーストするプロダクト開発の最前線」
- 「【実演あり】GPTsの力でブログ執筆を圧倒的に楽にする方法」
チェックすべき理由
経営層のコミットメントの強さと、専任チームへの大型投資が特徴。AI活用への本気度が伝わる記事が多数ある。
10. SmartHR Tech Blog
特徴
- AIエンジニア0人から「AI研究室」を立ち上げた事例
- LLMタスクフォース設立
- AI履歴書読み取り機能、サーベイ自由記述要約機能を開発
注目記事
- 「AIエンジニア0人の会社で、AI研究室を立ち上げる方法」
- 「SmartHRで一人目のMLエンジニアになった理由」
- 「CEOと語る、SmartHRとAIのこれまでとこれから」
チェックすべき理由
AI専門家ゼロからの立ち上げストーリーは、これからAI活用を始める企業にとって非常に参考になる。
11. freee Developers Blog
特徴
- AI CFOビジョンの実現に向けたAIラボ設置
- AIプロダクトマネージャーの配置
- 「そのAIの精度が1%上がったとき、顧客価値は?」という価値創出論
注目記事
- 「『そのAIの精度が1%上がったとき、顧客価値は?』freeeが語る、価値創出論とAIネイティブ組織への変革」
- 「生成AI活用の現在地と未来」
チェックすべき理由 経営トップのAI理解とコミットメントが強く、成功基準の策定プロセスが学べる。ビジネス価値とAI精度のバランス論は必読である。
12. ZOZO TECH BLOG
特徴
- LLMツールでレビューパトロール時間を67.7%削減
- LLMを駆使したSlackbotによる例外アラート調査・分析の自動化
- Embedding基盤の構築(Two-Towerモデル)
注目記事
- 「LLMツールを開発してレビューパトロール時間を67.7%削減した話」
- 「LLMを駆使したSlackbotによる例外アラート調査・分析の自動化」
- 「ZOZOのAI活用実践〜社内基盤からサービス応用まで〜」
チェックすべき理由
実業務でのLLM活用による明確な数値成果を公開しており、ROIの参考になる。2025年も継続的に更新されている。
業務効率化・成果創出企業(9社)
13. DeNA Engineering Blog
特徴
- データ基盤部によるMLOps基盤「Hekatoncheir」の提供
- Vertex AI Pipelinesを用いた機械学習パイプライン
- Triton Inference Serverを用いた推論基盤
注目記事
- 「機械学習モデルの安定提供を加速させる社内基盤」
- 「DeNA × AI Talks - AIスペシャリストが語る、最新技術」
チェックすべき理由
MLOps基盤構築のノウハウが豊富。機械学習モデルの本番環境での安定運用に課題を感じている企業におすすめである。
14. Wantedly
特徴
- 「UX with AI」をキャッチフレーズに全プロジェクトで機械学習活用
- 2018年から毎週開催の機械学習勉強会
- レコメンデーション機能への機械学習適用
注目記事
- 「Wantedly Visitの機械学習を使ったレコメンデーション」
- 「Machine Learning 輪講会」の活動
チェックすべき理由
継続的な学習文化の構築と、全プロジェクトへのAI組み込みの文化が参考になる。
15. Goodpatch Tech Blog
特徴
- デザイン×AIの融合
- 生成AIを活用した新規事業支援
- デザインシステム「Sparkle Design」で生成AI活用
注目記事
- 「大生成AI時代に学ぶAIのしくみ基礎の基礎」
- 「生成AIで新規事業を、と言われたあなたへ」
チェックすべき理由
デザイン領域でのAI活用という独自の視点が貴重である。UIデザインへのAI導入を検討している企業におすすめである。
16. リクルート Data Blog
特徴
- データサイエンス・機械学習の専門組織
- RecSys、KDD、NeurIPsなど国際会議への積極参加
- LLMを活用したデータ分析
注目記事
- 「【25新卒研修】大規模言語モデルことはじめ」
- 「KDD 2024 参加報告」
- 「NeurIPS 2022 参加報告」
チェックすべき理由
国際会議の参加レポートが充実しており、最新の学術トレンドをキャッチアップできる。データサイエンス人材の育成にも参考になる。
17. PayPay Tech Blog
特徴
- eKYCでのAI・OCR技術活用
- SageMakerによる機械学習基盤構築
- フルクラウド×AI
注目記事
- 「Tech Talks vol.53 – AI Utilization Office」
- 「Tech Talks vol.31 – Data Insights Department」
チェックすべき理由
金融業務でのAI活用には厳しい精度要求があり、その品質担保のノウハウが学べる。
18. Cookpad Tech Blog
特徴
- 2017年から研究開発部を設置
- YOLOを用いたリアルタイム料理認識
- 食領域特化のAI活用
注目記事
- 「クックパッドにおける最近の機械学習について」
- 「クックパッドの機械学習を支える基盤のつくりかた」
チェックすべき理由
ドメイン特化型AI活用の先駆者。特定領域でのAI活用を深めたい企業に参考になる。
19. GMO Developers
特徴
- AI時代のセキュリティ対策
- The AI Scientistによる研究自動化
- AIファジング、DDoS攻撃への対策
注目記事
- 「AI時代に求められるセキュリティ対策」
- 「AIの伸長とITエンジニアの未来」
チェックすべき理由
セキュリティ×AIという独自の切り口。AIによる新たなセキュリティリスクへの対策が学べる。
20. ミクシィ(MIXI)
特徴
- Google Cloud ASL(Advanced Solutions Lab)でAI学習
- ゲームバランス調整へのAI活用
- 雑談対話ロボット「Romi」の開発
注目記事
- 「Advanced Solutions Lab で最先端のAI・機械学習技術を学び、全社的なAI活用をさらに加速」
- 「【2025年版】MIXI 新卒向け技術研修の資料・動画を公開」
チェックすべき理由
エンタメ×AIの知見が豊富。Google Cloudとの密接な連携事例も参考になる。
21. ドワンゴ(KDX Engineering Blog)
特徴
- 機械学習チーム(DMV)による画像処理・CG研究
- AIサービス開発
- メディア×AIの融合
注目記事
- 「機械学習開発のための学習済モデル」
- AI/MLカテゴリーの記事一覧
チェックすべき理由
メディア・エンタメ領域でのAI活用事例が豊富である。
注目トピック別まとめ
🤖 AI駆動開発(AI-Driven Development)
注目企業: モノタロウ、YOUTRUST、Sansan
2025年最大のトレンド。Claude、Cursor、Clineなどのツールを活用し、開発プロセスそのものをAIで変革する動きが加速している。
- モノタロウ: 200人規模でCline導入、最も先進的
- YOUTRUST: Claude Code×Obsidianでナレッジ統合
- Sansan: LLM Weekで1週間の実験を実施
🔍 RAG(Retrieval-Augmented Generation)活用
注目企業: LINEヤフー、モノタロウ
社内情報検索、ナレッジ管理での実装が進んでいる。
- LINEヤフー: SeekAIで98%の正答率達成
- モノタロウ: MCPサーバーで業務知識をAI活用
🔌 MCP(Model Context Protocol)活用
注目企業: CyberAgent、モノタロウ、Sansan
業務知識をLLMに統合する新しいプロトコル。2025年の注目技術である。
- CyberAgent: MCP世界への招待記事を公開
- モノタロウ: 大規模コードベースのMCPサーバー化
- Sansan: VLMとMCPの組み合わせ
📊 成果の可視化
注目企業: ZOZO、freee、LINEヤフー
AI活用による具体的な成果を定量的に公開している企業群である。
- ZOZO: 67.7%の時間削減
- freee: 顧客価値の定量化、開発生産性向上
- LINEヤフー: 98%の正答率達成
まとめ:定期チェックで最新トレンドをキャッチアップ
2025年はAI駆動開発が本格化する年である。これらのテックブログを定期的にチェックし、自社のAI活用戦略に活かしていこう。