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AI時代のエンジニアが技術力だけでは生き残れない理由と必須スキル10選

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概要

ITエンジニア約1,000名を対象とした意識調査で、興味深いデータが明らかになった。約6割のエンジニアが「技術的スキルのみでは今後生き残れない」と回答したのである。

本記事では、この調査結果を基に、エンジニアが技術力以外に身につけるべきスキルと、その重要性が増している背景について徹底解説する。

この記事で分かること

  • ITエンジニア1,000名の調査結果と衝撃の事実
  • 技術力以外に求められる10の必須スキル
  • 生成AI時代におけるエンジニアの市場価値
  • キャリアステージ別の危機感の違い
  • フリーランスエンジニアも無関係ではない理由

対象読者: 現役エンジニア、エンジニアを目指す方、技術職のキャリアに関心のある方

調査出典: Akkodis株式会社 ITエンジニア意識調査

ITエンジニア約1,000名の調査結果が示す現実

Akkodis株式会社が実施したITエンジニア約1,000名を対象とした意識調査において、**約6割のエンジニアが「技術的スキルのみでは今後生き残れない」**と回答した。

この結果は、現場で働くエンジニア自身が、技術力だけでは不十分であることを実感している証左である。

なぜ技術力だけでは不十分なのか

実務において、要件に沿ったソフトウェアを構築できることは当たり前の前提条件である。技術力は必要条件であっても、十分条件ではない。

プロジェクトを成功に導くには、技術力以外の多様なスキルや振る舞いが求められる。

エンジニアに求められる技術力以外の10の必須スキル

実務で高く評価されるエンジニアが共通して持っているスキルを、10項目に整理して解説する。

1. 問題解決能力

課題の本質を見抜き、最適な解決策を導き出す力。技術的な実装力よりも、何を解決すべきかを特定する力が重要である。

実務での活用例:

  • システム障害発生時の原因特定と対処
  • パフォーマンス問題の根本原因分析
  • ユーザーの本質的な課題の把握

2. 提案力

「これどうしましょう?」と単に質問するのではなく、複数の選択肢を提示し、それぞれのメリット・デメリットを添えて提案できる力である。

良い提案の例:

  • 選択肢A: 実装コスト低、保守性やや低
  • 選択肢B: 実装コスト中、保守性高
  • 選択肢C: 実装コスト高、将来的な拡張性最高

推奨: 選択肢Bが最適(理由を説明)

3. プロジェクト推進力

計画を実行に移し、確実に前進させる力。タスクの進捗管理、リスクの早期察知、ボトルネックの解消など、プロジェクトを滞りなく進める能力である。

4. マネジメント能力

リソース配分、スケジュール管理、チームメンバーの育成など、人とタスクを適切に管理する力である。

5. コミュニケーション力

技術者同士だけでなく、非エンジニアとも円滑に意思疎通できる力。難しい技術概念を分かりやすく説明する能力も含まれる。

6. ドメイン理解

開発するシステムが扱うビジネス領域や業界の知識。金融システムなら金融知識、医療システムなら医療知識が該当する。

7. ビジネスへの興味関心

技術をビジネス価値に結びつける視点。**「この機能を実装することで、どのようなビジネス価値が生まれるか」**を考える姿勢である。

8. 調査能力・情報収集力

必要な技術情報や最新動向を効率的に収集・整理する力。公式ドキュメント、技術記事、コミュニティの活用が重要である。

9. 分解能力

複雑な問題をシンプルな要素に分解し、取り組みやすくする力。大きなタスクを小さなステップに分けて実行する能力である。

10. 優先度付けスキル

限られた時間とリソースの中で、何に注力すべきかを的確に判断する力である。ビジネスインパクト、技術的リスク、緊急度を総合的に評価する。

技術力は「一定水準」で十分である理由

極端に専門性を要求されるプロダクトでもない限り、技術に関して全てを深く理解していなくても実務では問題にならない。

一定水準の技術力があれば実現可能

以下のような技術理解があれば、多くの実務は遂行できる:

技術領域

求められる水準

深い専門性が必要なケース

Web開発

フレームワークの基本理解、APIの扱い

超大規模システム、リアルタイム処理

データベース

基本的なクエリ、正規化の理解

数億レコード規模、高度な最適化

インフラ

基本的なサーバー管理、CI/CD

マイクロサービス設計、大規模分散システム

技術力「だけ」での競争は悪手

技術力のみで勝負しようとすると、上には上がいるため、差別化が困難である。むしろ、技術力と他のスキルを組み合わせることで、希少性の高い人材になれる。

生成AIの台頭がもたらす変化

生成AI(ChatGPT、GitHub Copilot等)の進化により、中途半端な専門性や技術力は置き換えられる可能性が高まっている。

AIに置き換えられにくいスキル

スキル

AI置き換え難易度

理由

問題解決能力

課題の本質理解には人間の洞察が必要

提案力

ビジネス文脈の理解と判断が必要

コミュニケーション力

人間関係構築は人間固有の能力

コーディング

中〜低

定型的なコードは生成可能

バグ修正

単純なバグは修正可能

市場価値を高めるには

生成AI時代において市場価値を高めるには、AIを活用しつつ、人間ならではの価値を提供できるスキルを磨くことが重要である。

キャリアステージ別の危機感の違い

調査結果では、若手よりもベテラン層の方が高い危機感を感じていることが明らかになった。

なぜベテランほど危機感が強いのか

キャリアを重ねるにつれ、以下のような場面に遭遇する頻度が増加する:

  • 経営層との折衝やプレゼンテーション
  • プロジェクトの予算管理や人員配置
  • ビジネス要件の曖昧さへの対処
  • 複数のステークホルダー間の調整

これらの場面では、技術力だけではどうにもならないため、ベテランエンジニアほど技術力以外のスキルの重要性を実感する。

若手エンジニアへのメッセージ

若手のうちから、技術力と並行して以下のスキルを意識的に磨くことを推奨する:

  • チーム内でのコミュニケーション
  • 問題の本質を見抜く訓練
  • ビジネス視点でのシステム理解
  • 提案書や設計書の作成

フリーランスエンジニアも無関係ではない理由

「フリーランスなら技術力だけで良いのでは?」と考える方もいるかもしれない。しかし、個人的にはそうは思わない。

フリーランスに求められるスキル

技術力が高いだけで、以下のようなスキルを蔑ろにしていたら、長く良好なクライアント関係を築きにくい:

  • クライアントのビジネス理解
  • 適切な提案とコミュニケーション
  • プロジェクトの自律的な推進
  • トラブル時の対処と報告

安定したフリーランスキャリアの条件

要素

重要度

理由

技術力

案件獲得の基本条件

提案力

付加価値の提供、単価向上

コミュニケーション力

継続契約の鍵

ビジネス理解

中〜高

クライアントの本質的課題解決

単発の案件ではなく、継続的に依頼されるフリーランスになるには、技術力以外のスキルが不可欠である。

今日から始められる3つのアクション

技術力以外のスキルを磨くために、今日から実践できる具体的なアクションを紹介する。

アクション1: 問題を3回「なぜ?」で深掘りする

課題に直面したら、すぐに解決策を考えるのではなく、「なぜこの問題が起きているのか?」を3回繰り返す。本質的な原因を見つける訓練になる。

アクション2: 提案時に必ず複数案を用意する

「これで良いですか?」ではなく、「AとBとCの選択肢があり、〇〇の理由でBを推奨します」という提案形式を習慣化する。

アクション3: 非エンジニアに技術を説明する機会を作る

家族や友人に、自分が作っているシステムや技術を説明してみる。専門用語を使わずに伝える訓練になる。

よくある質問(FAQ)

Q1: 技術力の向上は不要なのか?

A: 決してそうではない。技術力は必要条件であり、その上に他のスキルを積み重ねることが重要である。一定水準の技術力は常に求められる。

Q2: どのスキルから磨き始めるべきか?

A: 現在の役割に応じて優先順位は変わるが、コミュニケーション力問題解決能力は全てのエンジニアに共通して重要である。

Q3: ベテランエンジニアが技術以外のスキルを身につけるには?

A: 若手への技術指導、プロジェクトマネジメントの経験、社外勉強会での発表など、実践の場を積極的に作ることが効果的である。

Q4: 生成AIに仕事を奪われる不安があるが?

A: 定型的なコーディング作業は効率化されるが、課題定義、設計判断、ステークホルダーとの調整など、人間が担う領域は依然として広い。AIを道具として活用するスキルを磨くべきである。

Q5: 技術力以外のスキルは、どう評価されるのか?

A: プロジェクトの成功率、チームの生産性向上、クライアント満足度など、定量的・定性的な成果として評価される。技術力だけでは達成できない成果を出せる人材が高く評価される。

まとめ

本記事では、ITエンジニア約1,000名の調査結果を基に、技術力だけでは生き残れない理由と、求められるスキルについて解説した。

重要ポイント:

  • 約6割のエンジニアが「技術力のみでは生き残れない」と実感
  • 問題解決力、提案力、コミュニケーション力など10のスキルが重要
  • 技術力は一定水準で足り、それだけでの競争は悪手
  • 生成AIの台頭により、中途半端な技術力の市場価値は低下
  • キャリアを重ねるほど、技術力以外のスキルの重要性を実感
  • フリーランスも技術力以外のスキルが継続的な案件獲得の鍵

次のステップ:

  1. 自分の強みと弱みを技術力以外のスキルで棚卸し
  2. 優先的に伸ばすスキルを2〜3個選定
  3. 実務やプライベートで実践の機会を作る
  4. 3ヶ月後に振り返り、成長を確認

技術力を磨きつつ、それ以外のスキルにも意識的に投資していくことが、長期的なエンジニアキャリアの成功につながる。今日から一歩ずつ、総合的な能力を高めていこう。